国の機関である日本学術会議をめぐっては、4年前、会議側が推薦した会員候補6人を当時の菅総理大臣が任命せず、組織の独立性などをめぐって大きな議論となりました。

その後、有識者らの議論を踏まえ、去年12月、政府は今後は国から切り離し、法人格を持つ独立した組織に改める方針を決めています。

こうした方針に対して、ノーベル物理学賞の受賞者で、学術会議の前会長を務めた梶田隆章さんなど歴代の会長が10日、都内で会見を開き、岸田総理大臣に対し、政府主導で議論が進んでいるとして見直しを求める声明を発表しました。

声明では「学術会議のあり方を法人化の見通しのなかに置くのであれば、日本学術会議の社会的役割が損なわれ、変質をもたらす危惧が極めて大きい」としたうえで「政府主導の見直しを改め、日本学術会議の独立性および自主性を尊重し、擁護することを要望する」としています。

梶田さんは「6人の任命拒否の問題についても政府は理由を説明せず、不誠実な対応のままだ。理念なき法人化が日本の学術の終わりの始まりになることを強く懸念している。法人化するか否か二者択一の議論ではなく、学術会議がどうあるべきか真に実りある議論を進めることが重要だ」と訴えました。

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