3日に発生した能登半島を震源とする最大震度5強の地震で、実際の揺れよりも広範囲で緊急地震速報が発表された件で、気象庁は10日、震源位置の推定が20キロずれたことが原因だったと明らかにした。

 3日早朝の地震では、東北から近畿までの26都府県に震度4以上の地震を予測する緊急地震速報が発表されたが、実際に震度4以上を観測したのは石川と新潟の両県のみだった。地震の規模も実際のマグニチュード(M)6.0をはるかに超えるM7.4と推計されていた。

 気象庁によると、今回の地震は能登半島の東端で発生したため、初期段階は震源のごく近くか、西側といった偏った観測点の情報しか利用できなかった。また、ほぼ同じ場所で0.7秒の間に二つの地震が発生したため、別々の地震として評価するのが難しかった。これらの影響で震源推定の精度が落ち、実際より20キロ東南側の富山湾が震源と推定されてしまったという。

「条件重なること多くない」

 緊急地震速報は、震源近くで観測した「早く伝わる」P波から「遅く強い」S波を予測して警戒を呼びかける。震源との距離が実際より長く見込まれた影響によって、観測したS波がP波と誤って計算され、「過大評価」につながったという。

 同庁の青木重樹・地震津波対策企画官は「こうした条件が全て重なることは多くない。現在の手法を変更せず精度向上に努める」としている。(大山稜)

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