石川県穴水町の穴水陸上競技場に建設された町内最大の能登半島地震の仮設団地「由比ケ丘団地」に2日、被災者とボランティアの交流拠点「ボラまち亭」がオープンした。名古屋市の災害救援認定NPO法人「レスキューストックヤード」が、旧管理棟に駄菓子屋や支援物資を無料配布するフードパントリー、多目的スペースを開設。被災者の居場所として孤立防止に役立てる。

ボラまち亭の「駄菓子屋コーナー」=2日、石川県穴水町由比ケ丘で

 同法人は地震直後の1月3日から穴水に入り、行政と連携して避難所運営や仮設住宅入居の支援などに当たっている。5月末の避難所閉鎖に伴い事務所を旧管理棟に移すとともに、被災者や災害ボランティアの交流の場にも使えるよう、同月上旬から改装工事を進めていた。  無料喫茶を備えた昔ながらの「駄菓子屋コーナー」や、食料品・日用品などの支援物資を陳列して無料配布する「おすそわけコーナー」、さまざまな催しに使える「交流スペース」を用意。交流スペースは被災者の困り事相談会や、各種講座・イベントに使ってもらうことを想定している。

支援物資を無料配布するボラまち亭の「おそすわけコーナー」=石川県穴水町由比ケ丘で

 旧管理棟にはシャワー室もあり、残りの部屋は浄化槽が修繕され次第、簡易ベッドを置いてボランティアが最大30人寝泊まりできる宿泊所とする。「ボラまち亭」という名前は町のシンボル「ボラ待ちやぐら」になぞらえ、ボランティアと町民がつながる場という意味を込めている。

◆「孤立防止につなげたい」

 2日は交流スペースで熊本県のからくり人形劇団の巡業もあり、子どもからお年寄りまで多くの被災者でにぎわいを見せた。当面1年間は続ける考えで、浦野愛常務理事は「何かあったら相談できて、人に会えて気分転換できる。外に出るきっかけとして町内全ての人に利用してほしい。町の皆さんと一緒になって居場所をつくり、孤立防止につなげたい」と意気込む。  6月中は毎週金~日曜の午前11時~午後5時にオープン。7月以降は月曜定休とし、時間の延長も検討する。(小林大晃) 

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