発がん性が指摘される有機フッ素化合物(総称PFAS(ピーファス))について、市民団体「四日市公災害市民ネット」は、4月に三重県四日市市の矢合川水系9地点で実施した独自調査の結果を明らかにした。同市桜町の南谷公会所前で採取した河川水から、国の暫定目標値(PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)を合わせ1リットル中50ナノグラム)の60倍以上にあたる3074.66ナノグラムが検出されたという。

 調査は、4月1日に河川水を採取し、京都大大学院の原田浩二准教授(環境衛生学)の協力で測定・分析した。昨年9月と今年1月に続き、3回目の実施。1月の調査の際、矢合川水系で高い数値が検出されたことから、対象を絞った。

 9カ所のうち国の暫定目標値を上回ったのは、南谷公会所前のほか、矢合妹橋870.58ナノグラム▽南山橋304.02ナノグラム▽墓所前・合流295.4ナノグラム▽智積橋100.01ナノグラム。南谷公会所前の上流や、下流では墓所前・支流は数値が低かった。

 これまで2回の調査では、羽津茂福雨水1号幹線の放水口の574・55ナノグラム(1月12日採取)が市内全域で最も高かった。今回の南谷公会所前の数値はこれの5倍以上だった。

 市民ネットの森下裕二さんは「岡山県吉備中央町のPFAS汚染では、産業廃棄物が排出源とみられている。矢合川も、汚泥などの産業廃棄物に含まれる有機フッ素化合物が流出した可能性も考えられる」と指摘する。

 調査結果を受けて、市民ネットは4日、四日市市の森智広市長あてに、汚染源の特定や継続的なモニタリングなどを求める要望書を提出した。森下さんは「市は、水道水の6割を地下水に依存しており、河川水の汚染が地下水に与える影響は大きい。市民の健康を守るためにも、早急に対応する必要がある」と話している。(鈴木裕)

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