公正取引委員会は4日、血液検査機器大手のシスメックスに独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査した。血液凝固測定装置を販売する際に自社の試薬の販売を強要した疑いが持たれている。取引先に「他社の試薬は使えない」などと虚偽の説明をして販売する行為が、独禁法の禁じる「抱き合わせ販売」にあたるとみて、公取委が調査を進める。

関係者によると、同社は遅くとも2019年ごろから血液凝固測定装置を販売する際、病院などの取引先に自社の試薬の購入を強要し、公正な競争を阻害した疑いがある。

同社は自社の装置で他社の試薬が使えるにもかかわらず、使用できないと虚偽の説明をしていたとされる。独禁法は特定の商品を購入する条件として別の商品の購入を課す抱き合わせ販売を不公正な取引方法として禁じている。

シスメックスは4日、「調査が入ったのは事実。全面的に協力する」とコメントした。

血液凝固測定装置は手術を控えた患者の血液が固まりやすいかどうかを調べる用途などに使われる。22年の国内市場規模は約27億円で、シスメックスが半分ほどを占めていた。試薬の国内市場規模は約109億円で同社のシェアは約3割。シスメックスの血液凝固検査分野の24年3月期の国内売上高は105億円だった。

4日の東京株式市場でシスメックスの株価は一時、前日終値比147円50銭(6%)安の2527円50銭と、1カ月ぶりの安値をつけた。業績が悪化するとの懸念から売りが出たためだ。ただ、東海東京インテリジェンス・ラボの赤羽高シニアアナリストは「海外の売上比率が9割と高く、影響は限定的だろう」とみる。

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