熊本地震で2度目の震度7を観測した「本震」から8年となった16日、大きな被害の出た熊本県の阿蘇地方などで遺族らが祈りを捧げた。毎年この日に行われてきた阿蘇市幹部職員による黙禱(もくとう)は、倒壊した楼門の修復工事が昨年12月に済み社殿の復旧が完了したことを受け、会場を今年初めて市役所から阿蘇神社前の公園に移した。

 8年前の4月16日午前1時25分、阿蘇市を震度6弱の揺れが襲った。市長らは玄関前のロータリーに机を並べて対策本部にした。災害復旧・復興対策本部に名称が変わり、市の復旧・支援事業が20年度中にほぼ終わった後も対策本部の看板は玄関前の柱に残された。

 「市民の心のよりどころでもある神社が復活してこその復興」と考えてきた佐藤義興市長は、楼門復旧後の昨年12月28日の仕事納め式で対策本部の解散を宣言、看板を撤去した。

 被災したほかの自治体では追悼行事を取りやめ、実施日を変更する動きが広がる中、佐藤市長は4月16日の開催にこだわり、今年は犠牲者への鎮魂と復興への思いを託した1150個のちょうちんが飾られた公園での開催を決めた。

 例年通り、被害の大きかった西の方角を向いて追悼の言葉を読み上げた後、佐藤市長は「暮らしが再建できず心の傷が癒えない人たちに対しては、職員一同『家族の一員である』という思いでサポートを続け、地震前の暮らしに戻ったと感じてもらえるよう取り組んでいきたい」と語った。(城戸康秀)

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