◆相模原市「下水への排出基準はない。対応を求めていない」
情報公開請求で入手した3Mジャパングループの工場に関する資料を説明する市民団体の代表(左)=31日、相模原市で
市民団体「相模川さがみ地域協議会」が市に情報公開請求し、工場に関する資料を入手。それによると、3Mジャパンイノベーション相模原事業所が昨年8月、市に対し「所内の井戸で2022年10月、(PFASの一種の)PFOA(ピーフォア)が水1リットル当たり約1700ナノグラムの濃度で検出した」と報告した。井戸の水は防火水槽などに使われた後、下水に排出されるとしている。 国はPFOAなど2種について河川や地下水の暫定指針値として1リットル当たり50ナノグラム以下を設定。市の担当者は「下水への排出基準がないことから、対応を求めていない」とした。◆過去にPFASを含んだ泡消火剤を製造
3Mジャパン相模原事業所=31日、相模原市で
工場では2000年までPFASを含んだ泡消火剤を製造していた。3Mジャパン(東京都品川区)の広報担当者は、工場が市内の河川や井戸水の汚染源かどうかは明言せず、「弊社施設以外の水に関する情報については把握していない」とコメントした。 3Mジャパンはアメリカ3Mの日本法人。アメリカ3Mは昨年6月、PFASによる飲料水汚染を巡る訴訟で、最大125億ドル(約2兆円)をアメリカ水道事業者に支払う和解案で暫定合意している。 PFASに詳しい京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)は「汚染源がかなり近いか、または敷地内にある可能性が高いと考えられる濃度だ。市は工場側に過去のPFASの使用状況などを詳しく聞き取るべきだ」と指摘する。(松島京太)相模原市内のPFAS汚染 神奈川県の2020年度の調査で、相模原市東部を流れる道保川から高濃度で検出されたことを受け、市が翌年度から調査を開始し、中央区南橋本の地点で1リットル当たり約1500ナノグラムのPFASを検出。東京新聞と京都大の調査では、飲用井戸を所有する一部の集合住宅などで高濃度のPFASが混入した飲用水を使っていたことや、道保川の魚類に全国平均の最大340倍のPFASが含まれていたことが判明している。
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