国税庁は31日、2023年分の個人の確定申告状況を公表した。同年10月のインボイス(適格請求書)制度導入を受け、個人事業者の消費税申告件数は約197万件となり、前年比で約9割増えた。
適用税率や消費税額を明記したインボイスは消費税の仕入れ税額控除の際に原則として提出が必要となった。フリーランスなどの個人事業者は通常、消費税が免除される「免税事業者」にあたりインボイスを発行できない。ただ、取引先との関係などを踏まえて、消費税の納税義務が生じる「インボイス発行事業者」として登録を受けることができる。
国税庁によると、23年に新たに198万人がインボイス発行事業者となった。このうちの約9割にあたる174万人が期限内に消費税を申告した。実際に申告義務があるとみられる事業者に限ると、期限内に約94%が申告を終え、例年の85〜90%を上回った。
免税事業者がインボイス発行事業者に転じると、26年9月分までは納税額を売上時に受け取った消費税の2割に抑える特例が使え、多くの場合は納税額が減る。23年に申告があった73万人がこの「2割特例」を適用していた。
国税庁の担当者は「制度を周知した効果があったが、理解が不十分な事業者もなお一定数いると思う。今後も義務のある事業者に申告を促していきたい」と話した。
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