たくさんのシャボン玉を生み出すパフォーマンスで、子どもや大人を笑顔にさせる男性が三重県名張市にいる。自称「名張のシャボン玉おじさん」。昨年から、新たな試みも始めた。

 19日、名張市美旗中村の障害者支援施設「名張育成園」であった地域との交流イベント。あいにくの小雨だったが、船舶部品メーカーの社員、角田(すみだ)航太さん(35)は「雨でも壊れないんです。台風はさすがに無理ですが」。ひもやチェーンをつないだ2本のさおを巧みに操ると、無数のシャボン玉が空に飛び出した。子どもたちは腕を伸ばし、歓声を上げた。「笑ってくれると、ぼくもうれしくなります」

 旧名張桔梗丘高校で野球に打ち込み、天理大でも野球部に。高校野球の審判員も長年務めた。子どものために何かできないかと考えていたコロナ禍の2022年、奈良県宇陀市にいる天理大時代の友人がシャボン玉のパフォーマンスをしていることに心引かれた。

 道具やシャボン液の作り方を教わり、名張市の公園で始めた。これまで週末のパフォーマンスは100回は行った。今では市外からの依頼の方が多くなり、北海道から依頼が届くことも。

 たいした道具も技術もなかった当初、「お金がないので公園ぐらいしか行くところがない」という保護者が喜んでくれた。「月曜から頑張れそう」と言ってくれた人も。「日頃しんどいことがあっても、みんな空を見上げると笑顔になるんです」。子どもだけでなく、大人にも楽しさが伝わると実感している。

 昨年9月から月に1度、同市瀬古口の自宅で「シャボン玉にっこり食堂」も始めた。「子ども食堂」だが、大人も対象。コロナ禍の最中、生活に困っている人に低価格の弁当を届ける活動をしていて、「子ども食堂を開きたい」との思いが募ったためだ。地域住民らの協力で食材を得てカレーを作り、30人程度に提供する。「シャボン玉だけでなく、食堂の知名度も上げたいです」

 シャボン玉のパフォーマンスの情報はインスタグラム(@shabondama_nabari)で発信している。(小西孝司)

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