認可保育園や特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人「母子育成会」(川崎市)は30日、記者会見を開き、前理事長(67)が2002年以降、約8億4690万円を私的に流用していたと発表した。前理事長も流用を大筋で認めているといい、法人側は業務上横領容疑で県警川崎署に告訴状を提出した。
法人によると、前理事長は現金を着服したり、実態のない会社に法人資金を支出してキックバックさせたりといった手口で流用を繰り返していた。流用した金は飲酒や女性との旅行、自宅リフォーム代などに充てていたという。
前理事長は1992年に法人に入り、2005年から理事長に就任。流用は00年に副理事長に就任してから始まったとみられ、法人側は総額10億円以上にのぼるとみている。
前理事長は昨年3月に実質的に経営から退き、新体制の下で私的流用が発覚した。
川崎市も文書で指導
川崎市も同日、前理事長の不正支出などの疑いが確認されたとして社会福祉法に基づいて法人を文書で指導したと発表した。市によると、22年度に市から法人に支出された助成金約2053万円のうち、適正に使われていたのは500万円にとどまっていたという。(佐藤英法、稲葉有紗)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。