高配当をうたう社債の購入を違法に勧誘したとして、資産運用会社「ザ・グランシールド」=破産手続き中=の社長中村佳敬(46)ら8容疑者が逮捕された金融商品取引法違反事件で、警視庁生活経済課は30日、新たに同法違反の疑いで、同社元社員の行政書士、後藤遼太容疑者(36)=埼玉県蕨市=を逮捕したと発表した。逮捕は29日付。

◆2億6000万円集金、報酬2500万円か

逮捕前の4月中旬、自身が勧誘に関わったトラステールの社債について説明する後藤容疑者=都内で

 逮捕容疑では、2019年12月ごろ~20年9月ごろ、国の許可を受けずに、「元本の20%が5年間にわたり年1回配当される」「5年後に元本が戻る」などと説明し、関連会社「トラステール」の社債400万円の購入を都内などの出資者2人に勧誘し、申し込ませたとされる。認否は明らかにしていない。  同課は、後藤容疑者が2019年1月からグランシールドを退職する22年2月までの間、ファイナンシャルプランナーを名乗り出資者約60人から計2億6000万円を集めたとみている。トラステール社債の売り上げの2割はグランシールド側に還流されており、うち後藤容疑者は2500万円の報酬を得ていたという。  一連の事件を巡って、中村容疑者らは17年2月以降、全国36都府県の約1300人から80億円を集めたとみられている。    ◇  ◇

◆「内容を知らずに関わってしまった」

 後藤容疑者は自身が逮捕される前の4月中旬、東京都内で東京新聞の取材に応じ、「内実を知らずに関わってしまった。絶望で涙が止まらなかったり、眠れなかったりする日々が続いた」などと後悔の念を口にしていた。  後藤容疑者は2018年1月にザ・グランシールドの社員になり、トラステール社債の勧誘など営業を担当。過去に保険業界で活躍したという社長の中村容疑者を「やり手で人望がある人物」とみていたという。

◆「信頼していたのに、裏切られた」

 当初、中村容疑者は社員たちに「何かあれば自分が責任持って対応するから大丈夫」と説明。後藤容疑者も「信じていた」というが、23年2月末にトラステール社債の顧客への配当金不払いが問題化すると「お前らも共犯だ」と責任をなすり付けるような言動が増えていったという。  後藤容疑者は「自分の知人も社債500万円を購入し、老後の資金がなくなってしまった。だまされた」と説明。中村容疑者については「信頼していたのに、裏切られた」と非難した。(小倉貞俊) 

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