今年3月から通勤快速を廃止し、朝夕の快速の大半を各駅停車に変更したJR京葉線の新ダイヤ。ラッシュ時間帯の混雑の平準化などが理由だったが、沿線自治体や利用客の猛反発を招き、JR東日本千葉支社は30日、9月から朝と夕方以降を中心に快速を増発すると発表した。本来は毎年3月のダイヤ改正を一部とはいえ、途中で見直す異例の対応を取らざるを得なくなった。(平野梓、小川直人)

◆千葉支社長「考えが至らなかった」

9月から快速を増発する京葉線=30日、千葉市で

 「大変厳しい意見をいただき、私どもの考えも至らなかったということで、最大限できることを検討した」。千葉支社の土沢壇支社長は千葉市内で記者会見し、今回の変更の背景に地元の反発があったことを認めた。  ダイヤ改正前、平日の快速本数は、昼(午前10時~午後3時台)以外の時間帯で上下線合わせて31本だった。改正後、それが2本に減少し、残りは各駅停車に変更。4本の通勤快速もすべて廃止された。

◆通勤快速の復活はなし

 9月の変更では、一部の各駅停車を快速に戻し、7本増の計9本とする。通勤快速は復活させない。  新ダイヤは、近年の開発で人口が増えている海浜地域や都内湾岸エリアでの利便性アップを狙った。千葉みなと以西の通勤快速・快速通過駅の乗車機会が増加し、実際に混雑緩和にもつながっていた。  一方、快速が停車していた駅の利用者からは、新ダイヤに批判的な意見が相次いだ。複数の沿線自治体も県と連携して再改正を訴え続けた。

◆「使える時間が増えるのはうれしい」

 快速が停車する海浜幕張駅(千葉市)から都内の高校に通う男子高校生(17)は「使える時間が増えるので、快速の増便はうれしい」と再改正を喜んだ。同市の男性会社員(73)も「快速が少しでも多くなるのは歓迎だ」と声を弾ませる。  千葉県の熊谷俊人知事は「秋口のダイヤ変更という異例の対応に感謝している。京葉線の速達性や利便性の向上などについて今後も引き続き検討してほしい」とのコメントを発表。千葉市の神谷俊一市長は、JRの今回の対応に「70点」と一定の評価を下し、「ラッシュ時の利便性などがまだ足りない」と注文を付けた。 

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