訴えを起こすのは、津地方裁判所の民事部で裁判長を務める竹内浩史裁判官(61)です。

人事院によりますと、国家公務員には、勤務する地域にある民間企業の給与に近づけるために地域手当が支給されていて、その支給率は、大都市など地域によって異なっているということです。

竹内裁判官は、16日に名古屋市内で会見を行い、この地域手当に不合理な格差があるうえ、昇給もなかったため大都市から地方に転勤することで、実質的に給与が減額されたと主張しています。

そのうえで、「裁判官の報酬は在任中減額されない」と保障する憲法に違反しているなどとして、国に対し、5月にも転勤による給与の減額分およそ240万円の支払いや、賠償を求める訴えを名古屋地方裁判所に起こす方針を明らかにしました。

現役の裁判官が国を相手に裁判を起こすのは異例で、竹内裁判官は「裁判官は今、採用したい人数を採用できていないうえに、途中で退官する人も多い。みな待遇に不満を持っていると思う。地域手当の格差をなくし、転勤による減額という不利益を受けないようにしてほしい」と話しています。

一方、最高裁判所広報課は「コメントは差し控えます」としています。

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