飲酒運転で逮捕され、刑事事件で無罪となったのに、免許取り消し処分が維持されるのはおかしいとして、福岡市の男性が福岡県に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が29日、福岡地裁であった。林史高裁判長は、第三者が運転していた可能性を指摘した刑事裁判の判決内容を否定し、「県の処分は適法だ」として男性側の訴えを退けた。

 判決によると、男性は2020年1月、事故を起こした車に酒を飲んだ状態で乗っていたとして、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕された。その後、一審・福岡地裁判決で執行猶予付きの有罪判決を受けたが、21年10月の控訴審で福岡高裁は「第三者が運転していた可能性を排除できない」として無罪を言い渡し、その後に確定した。

 林裁判長は、第三者の存在をうかがわせる説明をした男性の知人らの証言の信用性が低いことや、防犯カメラに男性以外が車を乗り降りした映像がないことなどを指摘し、「男性が運転行為を行ったものと認められる」と判断した。(中山直樹)

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