旧優生保護法に基づき、障害などを理由に不妊手術を強制されたとして、全国の男女が国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審弁論が29日、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)で開かれた。原告らが意見陳述し、東京の北三郎さん(仮名、81)は「被害者の人生を救う判決を書いてください」と訴えた。

国策による差別と人権侵害について、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用が認められるかが焦点。最高裁は今夏にも統一判断を示す見通しだ。

弁論で、14歳の時に手術を受けさせられた北さんは「人生を大きく狂わされた。67年苦しみ続けてきた」と振り返った。大阪の原告で、聴覚障害のある野村花子さん(仮名)は手話で「知らない間に手術を受けさせられた。悔しい」と主張。「優生保護法は障害者差別。子育てできる幸せな生活をしたい」と強調した。

原告の代理人弁護士は、不妊手術と知らされなかったり、社会的な差別や偏見が残ったりしている状況下で訴えられなかった被害者が多くいると説明した。

国側は、除斥期間を適用して賠償請求を退けるよう求めた。被害者に一時金を支給する法律が成立し、問題解決を図っているとも述べた。

旧優生保護法に基づく強制不妊手術を巡る国家賠償訴訟の上告審弁論のため、最高裁に向かう原告と弁護団ら=29日午前、東京都千代田区

旧優生保護法に基づく強制不妊手術を巡る国家賠償訴訟の上告審弁論が開かれる最高裁大法廷=29日午前、東京都千代田区(代表撮影)

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