東京 中央区の湾岸部にある元選手村の「晴海フラッグ」は、都が再開発によって、主にファミリー層向けに整備したマンション群です。
ことし1月から入居が始まりましたが、NHKが登記簿をもとに調べた結果、法人が一部の部屋を取得し、投資目的などに利用されている実態が明らかになりました。
晴海フラッグには、分譲マンションが全体で2690戸ありますが、不動産業界の専用サイトなどの情報をもとに、賃貸や転売されている部屋を集計したところ、5月までに2割近い491戸に上ることが分かりました。
内訳は、転売が164戸、賃貸が327戸で、転売物件の価格は、元値の1.5倍から2倍ほどで取り引きされていました。
なかには、1億950万円で売りに出された部屋が2億3800万円で成約していたケースもありました。
複数の部屋を購入し、すでに賃貸に出している投資家の1人は「部屋の利回りは非常に高く、周辺の2倍近い6%台に達している。結果的に晴海フラッグはどの部屋を買っても大正解で、値段はこれからも上がっていくと見込んでいる」と話していました。
住宅政策が専門の明治大学の野澤千絵教授は「転売目的の人が多くの部屋を買い占めることで、一般の希望者には全く手の届かない住宅となってしまっている。貴重な都民の土地が利用されマネーゲームの場となっているのは非常に問題だ」と指摘しています。
“老後を晴海フラッグで” 7回落選した夫婦は
老後を晴海フラッグで暮らしたいと申し込みを続け、抽せんで7回落選したという60代の夫婦です。
今も夫婦は諦められず、8000万円の予算を用意して、転売予定の部屋を見学に行きましたが、販売当時、6000万円だった部屋が9000万円に値上げされ、断念したといいます。
夫婦は「実際の部屋を見るとやっぱりいいなと思ったのですが、予算的に手が出ませんでした。五輪のレガシーを資産運用や投資に利用してほしくない、都が関わる開発ならば、しっかりと住みたいと思う人に手が届くような形で販売してほしかった」と話しています。
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