能登半島地震で被災した石川県輪島市の名物「輪島朝市」が25日、愛知県豊川市で「出張輪島朝市」として開かれた。石川県外では神戸市に続き2カ所目。復旧が見通せない輪島だが、歴史ある朝市を絶やさぬよう、今後も各地を巡るという。

 輪島朝市は、日本三大朝市の一つに挙げられ、千年以上続くとされる。元日の地震による大規模火災で、輪島市中心部は被災から約5カ月後の今も復旧せず、朝市の再開の見通しは立たない。

 朝市の設備を失った関係者が多いなか、金沢市で3月に初めて開かれた出張輪島朝市に、組み立て式の屋台を無償で貸し出したのが愛知県豊橋市の木工会社「老津(おいつ)木工」社長の松井誠さん(44)だった。

 朝市が開ける「出張先」を探していると知り、松井さんは豊川市のイオンモール豊川や地元企業にかけ合い、会場のほか冷蔵・冷凍ケースを無償で提供してもらえることになり、東海地方初の出張朝市が実現した。

 25日は海産物や工芸品を求める買い物客が売り場を訪れた。輪島塗などを買った豊川市の村上由希子さん(53)は「ただ、寄付をするのではなく、買って応援できるのがいい」と話す。

 出張輪島朝市事務局の橋本三奈子さん(62)は「輪島朝市を自分たちの代で途絶えさせてしまうわけにはいかない。たくさんの人が来てくださり、うれしい」と語る。朝市を次代につなぐため、東京都や仙台市などで開催する計画も進めている。8月下旬にも山梨県忍野村で関連イベントが開かれる予定だ。

 「輪島朝市に全国から皆さん来て下さった。これまでのお礼を言いながら、各地で新たなファンを作りたい」(戸村登)

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