東京都千代田区が区道「神田警察通り」で進めているイチョウ並木伐採を伴う工事を巡り、東京地裁が、伐採に反対して現場で座り込みをしている住民に、工事区間のうち「コーン標識とバーで境界を区切った作業場所」への立ち入りを禁じる仮処分を決定した。住民側が15日、明らかにした。住民が地裁に異議を申し立てる中、区は決定以降、イチョウ11本を伐採した。

◆伐採でイチョウは残り12本に

神田警察通りのイチョウ並木=東京都千代田区で(2022年4月25日撮影)

 3月11日付の決定は、伐採に反対する住民8人が作業場所内に立ち入ることを禁じた。これに対し、住民側は3月21日、「住民を囲むよう作業場所を設け、退去を促すことが想定される。決定は住民の表現の自由に強い萎縮効果をもたらす」と取り消しを求めた。  地裁は双方の意見を聞く審尋を5月13日に行うと決めたが、区は4月9日から4日連続でイチョウを伐採し、残り12本になった。住民側代理人の大城聡弁護士は「審理中に木を切るのは司法制度への冒瀆(ぼうとく)で仮処分の乱用だ」と批判し、審尋前に伐採させないよう地裁に求めたという。  区は取材に「仮処分は立ち入り禁止を求めるもの。工事や伐採をしていけないわけではない。今後も進める」と話した。(加藤益丈) 

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