【ワシントン共同】国際海洋法裁判所(ドイツ・ハンブルク)は21日、「海の憲法」とも呼ばれる国連海洋法条約で定める「海洋汚染」には温室効果ガスの排出が含まれるとの勧告的意見を出した。日本を含む168の締約国とEUは排出削減のほか、海水温の上昇や海面上昇、海の酸性化など「海の気候変動影響」に対処する義務を負うと指摘した。 勧告的意見は法的拘束力のない「見解」との位置付けだが、国際機関の議論で参照されるため影響力は大きい。今回は気候変動に関して国際裁判所が勧告的意見を出す初の事例となった。 各国はパリ協定などの国際的取り決めに沿い、排出削減や悪影響の削減に向け必要な対処を求められる。義務を果たしていないと見なした締約国を他の締約国が訴える事態も想定される。 裁判所に意見を求めたのは、南太平洋のツバルやカリブ海のアンティグア・バーブーダなどで構成する「気候変動と国際法に関する小島しょ国委員会」。災害に弱く、対策の資源にも乏しい国々から自国を脅かす海と気候変動問題で議論を喚起する狙いがあった。
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