知的、身体、精神にハンディのある人たちが働く障害福祉事業所が16日、三重県庁(津市広明町)の玄関ホールで「県庁マルシェ」を開き、食料品などを販売する。多くの人と出会う喜びを得ながら、収入を増やして自活に近づく目的だ。

 県社会就労センター協議会とNPO法人・共同受注窓口みえが共催する。

 出店するのは「おてんとさん」「ピアサポートみえ」「ひびうた」「お菓子工房M」「すみれ」など、津や松阪、亀山各市の10事業所。弁当やパン、ドライフラワー、焼き菓子、ドリップコーヒー、手芸品などを扱う。

 県によれば、今回出店するのは、いずれも自分のペースに合わせた時間に働ける「就労継続支援B型事業所」。三重県では2022年度時点で、B型事業所の賃金は1時間あたり平均227.5円、月額平均1万7696円にとどまる。障害者年金と合算しても自活するのは厳しいのが現状だ。

 津市役所ロビーでも毎週木曜日の午前11時~午後1時ごろ、市内の障害福祉事業所が「津マルシェ」を開き、食料品などを販売している。16年10月に当初は隔週で始まり、今は毎週約10事業所が参加しているという。

各店に固定客、作業・販売する人に喜びとやりがい

 津市木造町の「サンフラワーワークス」もその一つ。知的障害のある人を中心に18人が施設を利用し、清掃業務などのほか、黒ニンニク用のニンニクを畑で栽培している。津マルシェには、業者に加工してもらった香味油や、あられなどを袋詰めして並べている。

 「各店に固定客がつき、一定の販売も見込める。作業や販売する人にも喜びとやりがいになっている」と、とりまとめ役の県社会就労センター協議会の石原立巳事務局長は言う。

 昨年12月、協議会が一見勝之知事と懇談した際に、障害者の活動の場の拡大と収入向上、障害者に対する県民の理解促進を要望し、「県庁マルシェ」が実現することになった。

 サンフラワーワークスも参加する。主に車いす生活の片岡瞬さん(30)は、津マルシェではおつりの渡し方にも気を配りながら客とやり取りしており、「ぜひ店に出たい。他の事業所の仲間との交流も楽しみです」と話した。

 県庁マルシェは午前11時半~午後1時半。今後も毎月第3火曜日に開く予定。事業所から希望があれば出店数も増やしたいという。(高田誠)

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