広島市の平和記念公園で記念写真に納まる岸田首相(中央)、バイデン米大統領(その右)ら=2023年5月

 昨年5月のG7広島サミット開催から、19日で1年となった。「核兵器のない世界」実現への理想をG7で共有したと成果をアピールした岸田首相だったが、その後の世界はロシアやイスラエルが核使用の脅しを繰り返し、米国は臨界前核実験を実施。核軍縮の機運は高まらず、情勢は厳しさを増している。

 昨年5月に岸田氏は被爆地・広島選出の首相として史上初のG7首脳そろっての原爆資料館訪問を実現し、被爆の悲惨さに触れた首脳らは芳名帳に決意をつづった。岸田氏は核保有国の米英仏を含むG7で「核軍縮広島ビジョン」を発表し「核なき世界という理想に向けた取り組みの基礎を確保した」と語った。

 ただ核廃絶の具体的な道筋は見えない。「広島ビジョン」は核抑止論を容認。米国は今月14日、バイデン政権下で3回目の臨界前核実験に踏み切った。

 ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は核使用の脅しを繰り返し、イスラエルでは閣僚がパレスチナ自治区ガザに核爆弾を落とすのも選択肢と言及した。ロシアは昨年11月、包括的核実験禁止条約の批准を撤回した。

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