自民党の教育・人材力強化調査会(柴山昌彦会長)は16日、質の高い高等教育の実現に向けた提言をまとめた。国立大学については国際競争力を強化するために値上げを含む適正な授業料の設定と、奨学金の拡充など負担軽減をセットで検討すべきだとした。
18歳人口の減少により、2022年に63万人だった大学入学者は40年以降は49万〜51万人に減るとの推計がある。提言は「質の高い教育研究によって学生の能力を高めていくことが高等教育機関の極めて重要な役割」と強調。「質の担保された高等教育機関への再編や、地域における教育機会の確保は避けることができない喫緊の課題」とした。
大学の再編について、安易な新規参入を防ぐために設置認可の審査厳格化を要求。評価機関の審査で一定の基準を満たさない大学などについては、国が撤退を促進すべきだとした。
地域の大学へのアクセス確保に向けては、大学や自治体、産業界などが連携して議論する協議体の設置を推進する。コーディネーター役の人材育成も求める。
国公私立大などの役割についても言及。近年は経営が苦しい私立大が自治体の支援を得て公立に転換する動きが加速するが、「安易な私立大の公立化については慎重に検討することを徹底する」とした。
私立大については将来を見据えた経営改革を行う大学に対しての支援や、私学助成金のさらなるメリハリが必要だとした。
【関連記事】
- ・東京大学授業料値上げ、他大に波及も 国際競争が背景に
- ・慶応塾長「国立大の学費150万円に上げ、教育の質向上を」
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。