高校生の働きかけで今年制定された「なごや平和の日」の初の式典が14日、名古屋市の岡谷鋼機名古屋公会堂で開かれた。約100人が参列し、戦争中の空襲犠牲者らを追悼した。この10年、活動してきた市内の私立東邦高校の生徒も平和の宣言を読み上げた。
- 平和継ぐ、市を動かした高校生 「なごや平和の日」、あす初の式典
軍用機生産などの拠点だった同市は、太平洋戦争の空襲により全国の都市で5番目に多い約8千人が死亡したが、市の慰霊行事は初めて。軍需工場に動員された先輩ら20人が犠牲になり、校内で慰霊してきた同校の生徒会が2014、18年度、市に取り組みを要請。市議会で3月、名古屋城天守が空襲で炎上した5月14日を「平和の日」とすることが決まった。
式典では、祖母を空襲で亡くした河村たかし市長が、「名古屋は悲しい記憶に満ちた街だ」などと被災の歴史を振り返った。
同校の生徒4人は貧弱な防空壕で空襲に耐えた先輩にインタビューした映像などを大型スクリーンに映しながら、この10年の取り組みを発表。最後に「海の向こうでいまも戦争が起きている」と海外の紛争にも触れ、「平和な社会を築く使命」を宣言した。
平和の日は全国18都県市町にあるが、若者の提案は珍しい。この問題をめぐる市の有識者協議会の会長で市内の東海高校副校長西形久司さん(65)は式典後、「こんな平和の日は、海外でも珍しい。この特徴を生かし、若者の平和の提案コンクールや海外戦災都市の視察派遣など独自の取り組みを実現させたいですね」と語った。(編集委員・伊藤智章)
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