大阪地検特捜部が捜査した業務上横領事件で、無罪が確定した不動産会社プレサンスコーポレーション(大阪市)の山岸忍元社長(61)が違法な取り調べがあったとして7億7千万円の国家賠償を求めた訴訟で、特捜検事の1人が「逮捕は待ったほうがいい」と述べていたことが14日、分かった。国側が検事の陳述書を大阪地裁に提出した。

 内部で注意喚起があったにもかかわらず、逮捕の方針は変わらなかった。「シナリオ」ありきの特捜部による強引な捜査の一端が明らかになった。

 陳述書によると、検事は2019年12月、山岸氏と横領を共謀したとされた学校法人明浄学院(大阪府熊取町)の理事の取り調べを担当した。理事が取り調べの途中で供述調書の撤回を申し出たことから、検事は供述の信用性をより慎重に検討すべきだと考え、主任検事に逮捕の見送りを進言した。

 理事の調書の訂正も進言したが、主任検事は「撤回前の供述の方が信用できる。変遷の経過は録音録画に残っているので訂正の必要はない」と指示。調書は訂正されず、山岸氏は逮捕された。

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