大塚食品(本社・大阪市中央区)の工場内での不適切な衛生管理を内部告発した後、不当に配置転換され、うつ病を発症したとして、男性社員が13日、同社に220万円の損害賠償を求め、大津地裁に提訴した。
訴状によると、男性は大塚食品滋賀工場(滋賀県湖南市)の品質管理課に勤務していた2021年11月、スポーツ飲料「ポカリスエット」の原料となる粉を入れていたポリ袋から樹脂片などの異物が検出されたことを知った。さらに、食品用ではないポリ袋に入れられていることも把握したという。
男性は、大塚食品が親会社の大塚ホールディングスや製造委託元の大塚製薬に報告しなかったことに危機感を抱き、22年6月、滋賀県食品安全監視センターに公益通報。センターは食品衛生法に触れる恐れがあるとして大塚食品を行政指導した。
男性は23年4月、別の部署への異動を命じられた。男性側によると、異動先は畑違いの業務もあり、ほとんど仕事を与えられず、工場長ら管理職に囲まれた部屋で勤務することに。同8月、うつ病の診断を受け、約4カ月間にわたって休職を余儀なくされた、としている。
提訴後に会見した男性は「ほぼ軟禁状態で、パソコンの前に座り、労働時間の3分の2以上は待機しているだけ。経緯から考え、県に通報をしたことなどが原因としか考えられない。消費者への裏切り行為を是正するためには、内部告発をするしかなかった」などと訴えた。
大塚食品広報部は「原告の男性が訴えるような違法な対応を取った事実はございません」としたうえで、提訴については「訴状の内容を確認できておりません」とコメントした。(鈴木洋和)
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