部活動中や野外での活動中の落雷事故を、どう防いだらいいのか。宮崎市のグラウンドで起きた3日の落雷事故では、現場のコーチ陣がスマホで天候を確認していたのにも関わらず、生徒18人が搬送される事態となった。ゴロゴロと音がした時に取るべき行動とはー。

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 宮崎市の事故を受け、スポーツ庁などは5日、グラウンドなどの開けた場所では雷が人に落ちることがあり、その場合約8割が命を落とす危険性があることなどを伝えた上で、落雷の兆候があればただちに活動を中止するよう各自治体の教育委員会などに注意喚起している。

 部活動中には、過去にも事故がたびたび起きている。文部科学省は2018年、落雷事故の防止について文書を出している。指導者は落雷の危険性を認識し、事前に天気予報を確認するほか、天候が急変した場合はためらうことなく計画の変更や中止といった適切な措置を講ずるべきだと示す。

 気象レーダーなどを研究する大阪大学の牛尾知雄教授も、天気予報を確認して屋内に退避するといった対策が有効だとする。

 最新の気象情報を入手しにくい環境にいるとき、目安の一つになるのは雷鳴だ。「ゴロゴロ」という音が届く10キロほどの範囲は、積乱雲の構成要素の直径と重なる。「音が遠い」と感じても、聞こえたら「次の瞬間、落ちてもおかしくない」(牛尾さん)。

 周囲が急に暗くなったり、ひやりとした空気が流れたりした場合も要注意だ。気温の低下は、上昇気流によって上空で冷やされた空気の塊が下降したことによるもので、突風や雷などを引き起こす可能性があるという。

 鉄筋コンクリートの建物の中や、建物を見上げたときの角度が45度以上になる場所は比較的安全で、この範囲内で姿勢を低くすることを勧める。車の中に逃げるのも有効だという。

 一方、木の近くは危険性が高く、木に落ちた雷が人の体に飛んでくる「側撃」を受けることがある。テントも、支柱に落ちる危険性があるため離れるべきだという。

 牛尾さんら雷の専門家が集まる「日本大気電気学会」はウェブサイト(https://www.saej.jp/)で「雷から命を守るための心得」を公開しているほか、安全対策などについてまとめた冊子も発行している。「野外活動をする人はあらかじめ備えて、知識を持っておいてほしい」と呼びかける。(杉浦奈実)

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