障害者グループホーム(GH)を全国展開する会社「恵(めぐみ)」(本社・東京都港区)に対し、愛知県と名古屋市が計5カ所のGHの事業者指定を取り消す方針を固めたことが11日、わかった。県と市は同社が組織的に不正を行ったと判断。障害者総合支援法の規定により、同社は12都県にある約100のGHを運営できなくなる見通しとなった。

 同社は2018年に名古屋市で障害者向けGHを開設したのを皮切りに、有料老人ホームや放課後等デイサービスなどの福祉サービス事業を幅広く展開。愛知県のほか、東京や埼玉など首都圏を中心に12都県で約100のGHを運営している。定員は計約2300人にのぼる。

 22年5月、愛知県内のGHで知的障害や精神障害のある入居者から、実費以上の食材費を徴収し、運営費などに充てていたことが、施設職員の情報提供から判明。過大徴収の総額は県内の26GHで計2億1799万円に上った。

 その後の県などの監査で、複数のGHで勤務実績がない職員が働いていたように装うなどして、障害福祉サービス等報酬を不正請求していたことも確認。名古屋市が確認しただけでも約1億3千万円に上った。このため、県は「極めて悪質」と判断した同県幸田町のGHの事業者指定を取り消す方針を固め、同社側に「聴聞」の日程を通知した。名古屋市も市内4カ所のGHについて、近く通知する。聴聞を経て、6月中旬にも正式に処分に踏み切る構えだ。

 障害者総合支援法の規定では、指定取り消しの理由となった不正に法人の組織的な関与が認められれば、いわゆる「連座制」が適用され、他のGHの運営も事実上できなくなる。このため、利用者は退去したり他の施設に移ったりすることを強いられる可能性がある。(寺沢知海、松島研人)

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