北九州市小倉北区魚町の鳥町食道街一帯で1月3日に起きた火災で、焼け跡のがれき撤去が本格的に始まった。食道街復活を願う声は強く、約3700万円の撤去費用は全て市民らの寄付で賄われる。ただ、撤去後の姿はまだ見えていない。

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 火災後、焼け跡には大量のがれきが残り、小倉駅前の繁華街・魚町銀天街を通る人々に無残な姿をさらしていた。

 その撤去作業が8日から本格化した。重機による作業が進んでおり、6月末に完了予定だ。建物解体を伴う一部の作業は3月に始まっていた。

 駅前の一等地であり、その復興は街のにぎわいに関わる。関係者が対応を急ぐ中、課題となったのが撤去費用だった。

 そこで、北九州商工会議所などは「魚町火災復旧支援の会」を立ち上げ、寄付を募った。企業やスポーツチームの大口の寄付も相次ぎ、3月末までに集まった寄付金は6200万円を超えた。

 撤去には全体で約3700万円かかる見込みだが、全額が賄える。余った分も、焼けた魚町銀天街のアーケードの修理などに活用されるという。

 「支援の会」会長を務める同商工会議所の羽田野隆士専務理事は今月2日の記者会見で「市内の一等地ですから、一日も早く新しい建物ができて、街のにぎわいや商工業の発展に寄与することが一番のゴール」と期待した。

 ただ、がれきを撤去した後の復興策は、まだ何も決まっていない。

 市によると、焼けた36店舗のうち、8店舗が再開に向けて上限120万円の市の補助制度を活用。ほかに4店舗が活用を検討中という(9日現在)。

 しかし、関係者によると、3月に開かれた再建検討の会合では、意見集約ができなかった。建物の一体整備を求める声がある一方、早期再建を優先して個々での整備を求める声もあるという。

 がれき撤去に当たってきた、被災店舗の所有者らでつくる「魚町火災復旧対策会議」は撤去完了後に解散予定。復興に向けては、複雑な利害調整をどのように進めていくかが課題となる。(城真弓、江口悟)

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