【ワシントン=芦塚智子】米南部ジョージア州の州控訴裁は8日、トランプ前大統領が2020年の大統領選で敗北した同州の結果を覆そうとした罪で起訴された裁判で、担当検事の資格について審理すると発表した。トランプ氏側が検事の不正疑惑を指摘し、更迭と起訴の取り下げを求めていた。公判開始が遅れる可能性がある。
審理の対象となる検事は、事件の捜査を指揮したジョージア州フルトン郡のファニ・ウィリス地区検事。トランプ氏側は、ウィリス氏が不倫相手を事件の特別検察官に起用し、不透明な金銭のやり取りなど利益相反があったと主張している。
フルトン郡の裁判官は3月に特別検察官の辞任を命じたが、ウィリス氏には訴追担当の継続を認めた。トランプ氏側はこれを不服として控訴していた。
11月の大統領選で共和党候補の指名が確定しているトランプ氏は、ジョージア州の裁判を含め4件の刑事裁判を抱える。7日には南部フロリダ州連邦地裁の担当判事が、機密文書を巡る裁判の初公判を無期限で延期すると明らかにした。
大統領選の敗北を覆そうとしたとして連邦法違反で起訴された事件も3月に予定していた初公判が延期になった。公判が始まったのは不倫口止め料を不正に処理した事件だけだ。選挙への影響を防ぐため裁判の先送りを図ってきたトランプ氏の戦略が功を奏しつつある。
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