ロシアのプーチン大統領による外国訪問の動きが活発になってきている。2024年は中国や北朝鮮、モンゴルなどを訪問した。近く、インドなどの訪問も視野に入れる。ウクライナ侵略が長期化するなか、孤立を回避し今後想定される停戦交渉などを優位に進める狙いとみられる。
ロシア通信は23日、ペスコフ氏が「プーチン氏が来年1月に外遊を計画している」と発言したと伝えた。訪問国は明らかにせず、今後公表するとしている。
ペスコフ氏は11月にプーチン氏のインド訪問を「近く決定する」と記者団に述べており、同国などが有力視されているもようだ。
ロシアと友好関係を保つインドのモディ首相は7月にロシアの首都モスクワを訪問しプーチン氏と首脳会談を開いたほか、10月にはロシア西部カザンで開かれた新興国グループ、BRICSの首脳会議に合わせてプーチン氏と会談していた。
ロシア大統領府発表やメディア報道によると、プーチン氏は24年にこれまで中国や北朝鮮、モンゴルなど9カ国を訪れた。旧ソ連諸国のカザフスタンなどは複数回訪問しており、訪問国は23年(6カ国)から増えた。
プーチン氏は24年3月の大統領選で通算5選を決め、新たな任期を始動した5月には初の外遊先として中国を訪問し習近平(シー・ジンピン)国家主席と首脳会談を開いた。
6月には北朝鮮を24年ぶりに訪問した。金正恩(キム・ジョンウン)総書記と会談し「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結した。
同条約には軍事援助の条項が盛り込まれた。ロシア側は認めていないが、北朝鮮からの派遣兵がロシア西部クルスク州での戦闘に参加しているとみられる。
プーチン氏は9月には、国際刑事裁判所(ICC)加盟国のモンゴルを訪問しフレルスフ大統領と会談した。ICCが23年3月にプーチン氏に対して逮捕状を発行した後に同氏がICC加盟国を訪れるのは初めてだった。
モンゴルはプーチン氏を逮捕しなかった。同国はロシアと国境を接し、エネルギーを依存していることが背景とみられる。ウランバートルではプーチン氏の歓迎に対する抗議活動も起きた。ペスコフ氏はプーチン氏のモンゴル訪問に先んじて「心配していない」との見方を示していた。
プーチン氏は対ロ制裁を科していない中国や旧ソ連諸国、ウクライナ侵略を支援する北朝鮮などを相次いで訪問することで対立する欧米諸国への対抗軸形成につなげ、国際的な孤立を回避する狙いとみられる。
11月には米国大統領選でトランプ前大統領が当選した。プーチン氏は12月19日にモスクワで開いた年末の記者会見で、25年1月に就任するトランプ氏と「いつでも会う準備がある」と述べた。
トランプ氏は停戦交渉の仲介に意欲を示しており、プーチン氏にはウクライナに兵器を支援する米国との交渉を優位に運びたい狙いもあるもようだ。
プーチン氏は23年には、10月に中国を訪問し巨大経済圏構想「一帯一路」の国際会議に出席したほか、12月にアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアを歴訪した。同年春に訪問したウクライナの占領地域を除くと6カ国を訪れた。
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