ロシアのプーチン大統領は16日、志願兵の契約増に言及した=ロイター

ロシアのプーチン大統領は16日に出席した国防省の会合で、2024年に入り43万人以上の志願兵が国防省と契約したと述べた。ロシアは侵略を続けるウクライナ東部ドネツク州などで攻勢を急ぎ制圧地域を拡大する狙いとみられる。

プーチン氏は24年の志願兵の動向について「平均して1日あたり1000人以上が契約している」と述べた。軍人への住宅補助の充実など、採用後の支援を一層整える方針に言及した。

プーチン氏によると23年は30万人以上の志願兵がロシア国防省と契約を結んだといい、24年に入り大幅に契約数が増えているもようだ。

ロシア国防省はウクライナ侵略の長期化に伴って不足する兵士について、志願兵である契約軍人で補う方針を示している。12月から軍兵士の総数を最大150万人に増やしており、首都モスクワのソビャニン市長が7月に契約軍人の一時金として190万ルーブルを支払うと発表するなど、報酬を手厚くして各地で兵士の採用を急いでいる。

プーチン氏は16日の会合で新型の中距離弾道ミサイル(IRBM)「オレシニク」について「近い将来に量産が始まる」との見通しを示した。オレシニクはウクライナによる米英製の長射程兵器を使ったロシア領内への攻撃に対抗する措置として、11月21日のウクライナ東部の要衝ドニプロの攻撃にロシア軍が使用した。

プーチン氏は6日にベラルーシで開催した会合でオレシニクをベラルーシに配備することが可能との考えを示し、新型ミサイルの量産化が進む25年後半にも配備の可能性があると言及していた。

16日の会合ではベロウソフ国防相も演説した。ロシアメディアによるとベロウソフ氏はロシア軍が24年に「(ウクライナの)約4500平方キロメートルを制圧した」と述べた。

ロシア軍はドネツク州などで犠牲をいとわず攻勢を続け、制圧地域を拡大している。ベロウソフ氏はウクライナ東・南部4州でウクライナ軍が維持している比率は東部ルガンスク州で1%以下、ドネツク、南部のザポロジエ、ヘルソン州では25〜30%だと主張し戦果を強調した。

ベロウソフ氏は今後10年間で欧州で北大西洋条約機構(NATO)との軍事的な対立が起きる可能性に言及し、ロシア軍の体制を整えるべきだとも述べた。

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