国連特使 アサド政権を崩壊に追いやった組織の指導者と会談

独裁的なアサド政権が崩壊したシリアでは、15日、国連でシリア問題を担当するペデルセン特使が、首都ダマスカスで暫定政権を主導する「シリア解放機構」のジャウラニ指導者と会談しました。

ペデルセン特使は、記者団の取材に対し「すべてのシリア人が参加する政治プロセスを進めなければならない。プロセスはシリア人自身が主導する必要がある」と述べ、少数民族などを含むあらゆる勢力が参加する形で新しい国づくりを進めるよう、暫定政権側に求める考えを示しました。

「シリア解放機構」について、国連やアメリカなどはテロ組織に指定していますが、ペデルセン特使は、旧政権に対して欧米側が科している経済制裁については「早期に解除され、シリアの再建に向けて力を結集できることを期待する」と述べ、解除する必要があるという認識を示しました。

会談でジャウラニ指導者は、迅速で効果的な協力の重要性を強調したということで、国際社会のシリアへの関与が加速するなか、国連などの今後の対応が焦点となっています。

イスラエル 占領しているゴラン高原で実効支配強めるねらいか

一方、イスラエルは、シリア国内で旧政権が保有していた兵器が敵対する勢力に渡るのを防ぐためだとして、空爆を繰り返すとともに、シリアとの間の緩衝地帯に軍の駐留を続けています。

現地の情報を収集するシリア人権監視団は15日、アサド政権の崩壊以降、イスラエル軍による空爆は453回にのぼったと明らかにしています。

さらにイスラエル政府は15日、占領しているシリアのゴラン高原でイスラエル人の人口を倍増させる計画を承認したと発表しました。

ネタニヤフ首相は15日、声明で「シリアと敵対するつもりはない。実際の状況に応じて政策を決定していく」としています。

イスラエルとしては、アサド政権の崩壊による混乱の中、ゴラン高原の実効支配を強めるねらいがあるとみられ、発表を受けて、サウジアラビアやカタールなどアラブ諸国が相次いで反発する声明を出しています。

ロシア シリアから大使館職員の一部など退避と発表

ロシア外務省は15日、シリア北西部にある、ロシア軍が駐留するフメイミム空軍基地から、自国の大使館の職員の一部と、北朝鮮とベラルーシの大使館の職員などを、首都モスクワに退避させたと発表しました。

シリアの首都ダマスカスにあるロシア大使館の業務は、今後も継続されるとしています。

これに先立って、ロイター通信は、今月13日に撮影された衛星写真をもとに、フメイミム空軍基地に駐留しているロシア軍が軍事物資の撤収を行っているとみられると伝えています。

一方で、ロシア外務省で中東問題を担当するボグダノフ外務次官は12日、シリアでのロシア軍の駐留継続に期待を示しています。

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