【ストックホルム=共同】今年のノーベル文学賞に決まった韓国の女性作家、ハン・ガン(韓江)さん(54)がスウェーデンの首都ストックホルムで6日、記者会見した。韓国では尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「非常戒厳」を一時宣言し、政治が混乱。ハンさんは「大変ショックを受けている」と述べ、深い憂慮を示した。
アジア人女性として初の受賞となる。10日に授賞式に臨む。
代表作「少年が来る」では、自身が9歳だった1980年5月、故郷の南西部・光州で軍が民主化運動を弾圧した「光州事件」を扱い、犠牲者の一人を主人公のモデルとした。当時も戒厳令が出されており、事件は「北朝鮮の扇動を受けた暴動」と伝えられた。
同作は、革新系の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の愛読書でもある。一方、保守系の朴槿恵(パク・クネ)元政権下では、ハンさんは政権に批判的な芸術家として「ブラックリスト」に名前が記載されたこともあった。
ハンさんは韓国で、87年の民主化後の文壇をリードする「次世代の旗手」と目される。「菜食主義者」、「別れを告げない」など邦訳作品も多く、日本での知名度も高まっている。
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