三菱商事は英国の洋上風力発電所の電力を陸上に運ぶ送電線事業を運営している(洋上風力発電所のホーンシー2、三菱商事提供)

三菱商事は6日、100%子会社の英ダイヤモンド・トランスミッション・コーポレーション(DTC)が英国で展開する全ての海底送電事業を12月末までに売却すると明らかにした。DTCは売却に伴い資本金を約1億1800万ポンド(約226億円)から1ポンドに減らす。同事業は収益が比較的安定しており、現金を回収する好機と判断した。

事業統括会社であるDTCの傘下企業で、洋上風力発電所から電気を陸上に運ぶ送電設備を10件運営するダイヤモンド・トランスミッション・UK(DTUK)を売却する。「売却額と売却先は非開示」(三菱商事の広報担当者)としている。DTCは2024年3月期の純利益が前の期比2.4倍の3053万ポンド(約58億円)だった。

英国では発電所と、発電した電気を運ぶ送電設備を異なる事業者が担う発送電分離が実施されている。三菱商事は2011年に英国で1件目の海底送電事業を買収して参画し、段階的に事業件数を増やしてきた。今回の売却で同国での海底送電事業はなくなるが、電力インフラ分野では今後も新たなビジネスチャンスを探る。

三菱商事は成長性や資本効率に課題がある事業や、優良資産のため現金を回収しやすいと判断した事業などを売却し、回収した資金を成長投資に分配する「循環型成長モデル」を展開している。今回の事業売却もその一環という。

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