【パリ=北松円香】2日からパリで開かれていた経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会は3日、閣僚声明と人工知能(AI)原則の改定を採択して閉幕した。生成AIなど近年の急速な技術進展に合わせ、AIを利用した偽情報の拡散や知的財産権の侵害への対応を強化する。
OECDは2019年にAIに関する国際的な指針「AI原則」を策定。策定5年後に見直しを予定していたことから、改定作業を進めていた。OECD加盟の38カ国に加え、ブラジルやシンガポールなど非加盟の8カ国が指針改定に賛同を表明した。
声明では日本が23年の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)で提唱した生成AIの議論の枠組み「広島AIプロセス」を支持すると表明し、AIのガバナンス強化に関する様々な枠組みの連携の重要性を強調した。
経済的な強靱(きょうじん)性にも触れ、脱炭素などに必要な重要鉱物などについて「持続可能で確実性、信頼性の高い供給源の確保に向けて協力する」とした。
ロシアによる侵略が続くウクライナに対して「国別プログラム」を通じた支援を改めて表明。緊張が続く中東情勢に関しては「対立がもたらす経済と社会への悪影響に関する深い懸念」を表明した。
今年は日本のOECD加盟60周年にあたる。日本は10年ぶりとなる閣僚理事会議長国を務め、岸田首相のほか、上川陽子外相や河野太郎デジタル相など計6人が出席した。
上川氏は閉幕後の記者会見で日本が立ち上げを主導したOECDの東南アジア地域プログラムがインドネシアやタイの加盟申請につながったと指摘し、「このモデルを他の地域にも拡大すべきだ」と述べた。
理事会では25年の閣僚理事会の議長国がコスタリカと決まった。同国は21年にOECDに加盟し、議長国を務めるのは初めて。
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