追悼式は、登録にあたって日本の政府代表が「毎年、現地において執り行われる予定だ」と説明していたもので、地元の自治体や市民団体などで作る実行委員会が主催し、生稲外務政務官や新潟県の花角知事など、70人が出席しました。

一方、韓国政府の代表や韓国人の遺族は予定していた出席を見送りました。

式典では、最初に主催者を代表して、市民団体の会長の中野洸さんが「すべての労働者のご苦労があって世界遺産に登録されたということを認識し、亡くなられた方すべてに哀悼の意を表する」と述べました。

続いて生稲外務政務官が「労働者の中には、戦時中の政策に基づいて朝鮮半島から来られた多くの人が含まれ、過酷な環境のもとで困難な労働につき、残念ながら、亡くなられた方もいた」と述べました。

その上で「今こそ、先人たちが紡いできた歴史を未来へ継承していくという誓いを新たにしなければならない。亡くなられたすべての方々に改めて深い哀悼の意を表したい」と述べました。

その後、献花が行われ出席者たちが菊の花を手向けていました。

追悼式のあと佐渡市の渡辺竜五市長は記者団に対し「韓国の方も含めて追悼式を一緒にやりたいという思いがあったのも事実で非常に残念だ。追悼式は来年以降も基本的に行う方向で考えていくと思うので、地元としてできることを取り組んでいくのがわれわれの仕事だ」と述べました。

韓国外務省“独自の追悼式を佐渡で25日開催へ”

世界文化遺産に登録された新潟県の「佐渡島の金山」をめぐり、すべての労働者のための追悼式に韓国政府が政府代表の出席を見送ると発表していましたが、韓国外務省は24日、新潟県佐渡市で独自の追悼式を25日開催すると発表しました。

また、韓国側が追悼式を欠席した理由として式典に出席する生稲外務政務官が、過去に靖国神社に参拝したと韓国メディアが報じていることについて、韓国外務省は「生稲議員は2022年7月に参議院選挙で当選したあと、8月15日に靖国神社に参拝したと理解している」としています。

朝鮮半島出身者の家族らが博物館を見学

その一方で、朝鮮半島出身者の家族と韓国政府の関係者は佐渡市の相川郷土博物館を訪れ、歴史や労働状況に関する展示を見学しました。

博物館には、朝鮮半島出身者が岩盤に穴をあけたり、落石を防ぐため坑道内を補強する木材を組んだりするなど、危険な作業に従事する割合が多かったことなどを示す資料やパネルが展示されていて、関係者らは10分ほど、施設に滞在しました。

外務省関係者 韓国の出席見送りは残念

外務省関係者は追悼式の主催者と連携しながら、韓国政府とも丁寧な意思疎通を図ってきたものの、韓国側が出席を見送ったのは残念だとしています。

また、複数の外務省関係者によりますと、韓国メディアが、生稲外務政務官がおととしの参議院選挙で当選した直後に靖国神社に参拝したとして、それが韓国側が欠席した理由だという見方を示していることについて「生稲氏に確認したところ『参議院選挙で当選して以降、靖国神社に参拝した事実はない』と話している」ということです。

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