アゼルバイジャンの首都バクーで開かれているCOP29では、途上国の気候変動対策を支援するための資金について、新たな目標額を決めることなどを目指しています。
21日に示された成果文書の草案では、先進国寄りと途上国寄りの対照的な2つの選択肢が示され、意見の隔たりを併記した形です。
しかも、いずれの選択肢でも、具体的な支援の金額は示されませんでした。
また、先進国側が主張してきた、途上国を含む各国が行う温室効果ガスの削減に向けた取り組みなどに関しても、踏み込んだ表現は見られず、双方から草案の内容が不十分だという不満が相次ぎました。
グアテマラの副天然資源・気候変動相は、NHKの取材に対し、「先進国はなかなか支援額の数字を出してくれない。交渉を始めるためには、金額の提示が必要だ」と述べ、合意には支援額について先進国側からの積極的な提案が必要だと訴えました。
一方、EU=ヨーロッパ連合の交渉担当者・フクストラ氏は21日の全体会合で、温室効果ガスの削減などに関する内容が乏しいと指摘し、「草案はバランスを欠き、実行不可能で受け入れがたい。申し訳ないが失望した。議長国にはもっとリーダーシップを発揮してほしい」と批判しました。
合意が見通せない中、22日までの会期が延長される可能性も出ていて、国連のグテーレス事務総長は「今こそ、各自が当初の立場から脱却し、妥協の可能性を見いだす時だ」と述べ、歩み寄りを呼びかけました。
各国の反応は
難しい交渉が続く中、カリブ海の島国バルバドスのムンロナイト交渉団代表は、ハリケーンによる被害が深刻になっているとした上で、「我々のような小さな開発途上の島国は、気候変動によって、より直接的な影響を受ける。喫緊の課題だ」と述べ、気候変動の影響を受ける途上国を守るため、成果文書には、より野心的な内容を盛り込むべきだと強調しました。
一方、各国の意見の隔たりも大きいことについて、アイルランドのライアン環境相は「国際的な合意に至らなければ、許されない。私たちは迅速に取り組まなければならない」と述べ、残された時間で着地点を見いだすため、交渉に全力を尽くす考えを示しました。
その上で、「世界が分裂し、戦争状態にある中、多国間で協力することに対する信頼を回復することができるかもしれない。私はそうなることを願っている」と述べ、各国が意見の隔たりを乗り越えることに期待を示しました。
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