【NQNニューヨーク=横内理恵】19日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し、前日比120ドル66セント(0.27%)安の4万3268ドル94セントで終えた。ウクライナとロシアを巡る地政学リスクの高まりがダウ平均の重荷となった。

ウクライナは19日、米国から供与された長距離地対地ミサイルでロシア西部の軍事施設を攻撃した。米政府は17日に長距離射程兵器を使ったロシア領内への攻撃を許可していた。ロシアはこれを受けて核兵器の使用条件を示した「核抑止力の国家政策指針(核ドクトリン)」を改定し、核兵器による反撃の可能性を示唆した。

投資家のリスク回避姿勢が強まり、ダウ平均は午前に450ドル下げる場面があった。「ロシアが報復に出た場合に相場にどのような影響を与えるのか、市場の関心は次の展開に集まっている」(フリーダム・キャピタル・マーケッツのジェイ・ウッズ氏)との声が聞かれた。

ただ、ロシアとウクライナに関しては特に目立った続報がなく、売り一巡後は下げ渋る展開となった。20日に四半期決算の発表を控えるエヌビディアが5%近く上昇し、他のハイテク大手などへの物色も続いた。「足元の相場上昇に乗り遅れた機関投資家などから、年末に向けて買いが入りやすい」(シーミス・トレーディングのジョゼフ・サルッジ氏)との声があった。

ダウ平均ではユナイテッドヘルス・グループやスリーエム、トラベラーズなどが下げた。一方、19日発表の2024年8〜10月期決算が市場予想を上回り、通期の見通しを引き上げたウォルマートが買われた。アマゾン・ドット・コムやボーイングも高い。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸した。前日比195.662ポイント(1.04%)高の1万8987.468で終えた。テスラやアルファベット、ネットフリックスが上昇した。

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