【ワシントン=芦塚智子】トランプ次期米大統領は13日、司法長官に共和党のマット・ゲーツ下院議員を起用すると発表した。トランプ氏は自身に対する起訴を巡ってバイデン政権の司法省を批判し、司法長官の指名を最も重視する人事の一つと位置づけてきた。司法長官は不法移民対策など次期政権の看板政策を法的に支える役割も担う。
トランプ氏は声明で「米国で司法システムの党派的な武器化を終わらせることほど重要な問題は少ない」と主張。「マットは司法省全体の腐敗を根絶し、犯罪と闘う真の任務に戻す」と強調した。
ゲーツ氏はフロリダ州選出の下院議員で、現在4期目。下院司法委員会や軍事委員会の委員を務める。保守強硬派として知られ、2023年に当時のマッカーシー下院議長が予算を巡り民主党と協力したとして解任を主導した。
ゲーツ氏は人身売買容疑で司法省の捜査を受けたが、同省が起訴を見送った。超党派の下院倫理委員会は性的な違法行為や薬物使用などの疑いで調査を継続している。同氏は疑惑を否定している。米メディアは、上院での承認が難航する可能性もあると報じた。
トランプ氏は前政権で、司法省がバイデン大統領やオバマ元大統領、クリントン元国務長官らを捜査しないとして不満を示していた。司法長官に自身に忠実なゲーツ氏を据えることで、自身の主張や政策を通しやすくする狙いがあるとみられる。
トランプ氏が自身の起訴や捜査に関わった当局者の一掃や、バイデン氏ら政敵の捜査指示を試みる可能性を指摘する声もある。
司法長官は、トランプ氏に対する21年の連邦議会占拠事件への関与や機密文書の不正持ち出しを巡る2件の起訴についても、捜査したスミス特別検察官を解任して捜査を終わらせることができる。米メディアは、スミス氏がトランプ氏の大統領就任前に捜査を終了し辞任する意向だと報じている。
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