ドイツの経済研究所 製造業2000社以上にアンケート

なかでも大きな影響を受けるおそれがあるのがヨーロッパ最大の経済大国で、アメリカを最大の輸出相手国とするドイツです。

ドイツの有力な経済研究所 ifoは、先月、ドイツ国内の製造業2000社以上を対象にしたアンケートを発表しました。

それによりますと、トランプ氏が当選した場合、ハリス氏に比べて経営環境にとって「非常にマイナス」あるいは「マイナス」と回答した企業は44%、「変わらない」が51%、「非常にプラス」あるいは「プラス」は5%でした。

アメリカ大統領選挙の行方を注視しているのが、ドイツ西部で食品加工に使う加熱装置などを製造する会社です。

従業員はおよそ100人で、アメリカへの輸出が売り上げの2割を占めています。

取締役のブルクハート氏は、地元ドイツの景気が低迷する中、景気が底堅いアメリカ市場を重視しています。

しかし、トランプ氏が大統領に返り咲いて輸入製品の関税を引き上げれば製品が売れなくなり、経営環境が悪化すると予想しています。

また、会社の製品はアメリカと取り引きのある中国企業でも使われています。

このため、トランプ氏のもとで米中の貿易摩擦が激化した場合には、中国向けの需要も減少する連鎖的な影響を受けるおそれもあるとみています。

ブルクハート氏は「将来がどうなるのか非常に不安で、ハリス氏が勝利するよう祈っている。もし関税が上がり、自社製品の競争力が失われれば、販売したい国で製造するしか方法はない」と述べ、ドイツからアメリカへの製造拠点の移転も検討せざるを得なくなると不安をあらわにしていました。

専門家 “日本などと協力して貿易ルール尊重を訴える必要”

ドイツの有力な経済研究所 ifoのフラッハ国際経済センター所長は「ハリス氏はルールに基づいたグローバルな貿易のシステムを維持する重要性を理解していると思うが、トランプ氏は単独主義を進めようとしている。これは世界経済にとって大きな違いだ」と指摘しています。

そして、「ヨーロッパは世界的なサプライチェーンに組み込まれ、ルールに基づく貿易システムに頼っている。ヨーロッパがトランプ氏の再来で直面する脅威は、関税だけでなく、単独主義や貿易システムの崩壊だ」と話し各国がアメリカに続いて関税を引き上げるなど保護主義的な政策を強めた場合、ヨーロッパは大きな影響を受けるとの見方を示しています。

ifoは、ことし9月、トランプ氏が外国からの輸入製品に20%、中国からの輸入製品に60%の関税を課した場合、ドイツからアメリカへの輸出はおよそ15%減少するという分析も示しました。

フラッハ所長はトランプ氏が掲げる関税政策について「世界的な貿易のルールに反している」と指摘し、トランプ氏が返り咲いて実行に移そうとした場合は、ヨーロッパは日本などと協力して貿易のルールを尊重する必要性を訴えることが重要になると強調しました。

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