【ニューヨーク=吉田圭織】米製薬大手のイーライ・リリーが30日発表した2024年7〜9月期決算は、最終損益が9億7030万ドル(約1500億円)の黒字(前年同期は5740万ドルの赤字)だった。一方、24年通期予想は下方修正した。売上高の4割近くを占める肥満症薬と糖尿病薬の販売が供給難で想定ほど伸びなかったほか、買収伴う関連費用を計上したことが重荷となった。
7〜9月期の売上高は20%増の114億3910万ドルだった。市場予想(約120億ドル)を下回り、30日の米株式市場で株価は下げて取引を開始した。23年11月に米食品医薬品局(FDA)が承認した肥満症治療薬「ゼプバウンド」の売上高は12億5780万ドル、糖尿病薬「マンジャロ」(一般名チルゼパチド)の売上高は前年同期の2倍強となる31億1000万ドルと、それぞれ市場予想を下回った影響が大きい。
マンジャロは減量効果があるとして、米国で肥満症薬としても使用されている。
マンジャロとゼプバウンドの人気は高く、需要に追いつくように生産増加や患者へ直接販売などの対策を打ち出している。だが、7〜9月期はコールドチェーン(低温物流)の複雑さが卸売業者に負担となり流通在庫が減少、販売の伸び悩みにつながったという。
同社は24年12月通期の業績予想を下方修正した。1株当たり利益(EPS)は12.05〜12.55ドルと15.10〜15.60ドルから引き下げた。売上高は454億〜460億ドルと上限を6億ドル下げた。
マンジャロとゼプバウンドの供給難が続くなかで「需要を高める活動には慎重だった」ことや、米バイオ医薬品企業モーフィック・ホールディングの買収に伴う費用を計上したことが下方修正の主因だという。
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