【ニューヨーク=佐藤璃子】国連安全保障理事会は29日、パレスチナ自治区ガザ情勢を協議する会合を開いた。イスラエルの国会が28日に、自国内で国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を禁止する法案を可決したことに対して、各国が懸念を表明した。
UNRWAはイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が続くガザで人道支援を担う。イスラエル政府はUNRWAで働くパレスチナ人職員の多くが「ハマスの所属員だ」と批判してきた。
1月には一部職員が2023年10月のハマスによる越境襲撃に関与していたと指摘し、日本を含む10カ国以上が資金拠出を一時停止した。ガザへの入境はイスラエルが管理しているため、同国内での活動が禁止されればUNRWA職員の入境や支援物資の搬入に支障が出る可能性が高い。
29日の会合に参加したパレスチナのマンスール国連大使は可決された法案について「市民が生き延びるための支援を行う能力を奪うものであり、国連に対する戦いが新たな局面を迎えていることを示す」と非難した。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「一部の職員が23年10月の攻撃に関与していたという事実は否定できない」とした上で、今回の法案可決については深い懸念を示した。「ガザへの食料や救命支援物資の供給に関しては、現時点でUNRWAに代わる機関はない」と強調した。
イスラエルのダノン国連大使は会合で「UNRWAがテロリストに隠れみのを提供し続ける一方で、イスラエルはガザ市民に人道支援を届けるために懸命に働いている」と反論した。
イスラエルでのUNRWAの活動禁止が可決されたことを受けてノルウェーは29日、イスラエルのパレスチナ人に対する支援義務について明確にするよう国際司法裁判所(ICJ)に要請する決議案を、国連総会に提出すると発表した。
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