【ニューヨーク=吉田圭織】米製薬大手ファイザーが29日発表した2024年7〜9月期決算は最終損益が44億6500万ドル(約6900億円)の黒字(前年同期は23億8200万ドルの赤字)だった。新型コロナウイルス関連製品の売上高が増えたほか、ガン治療薬などが好調だった。
売上高は前年同期と比べ31%増の177億200万ドルで、アナリスト予想(149億2000万ドル)を上回った。コロナワクチンの売り上げが9%増の14億ドルとなったほか、コロナ向け飲み薬「パクスロビド(日本での製品名パキロビッドパック)」も夏のコロナ流行を受けて13倍以上の27億ドルに増えた。
コロナ関連製品を除いた売上高も14%増だった。23年12月に買収を完了したがん治療薬の米シージェンが約8億ドルの売上高の増加に寄与したほか、心筋症の治療薬「ビンダケル」や米ブリストルマイヤーズスクイブと共同販売する血液凝固を防ぐ薬「エリキュース」も好調だった。
24年通期(1〜12月期)の業績見通しを上方修正した。1株当たり利益を2.75〜2.95ドルと従来予想(2.45〜2.65ドル)から引き上げた。新型コロナ治療薬の売上高が想定以上に高くなりそうなことが大きな要因だという。通期売上高は610億〜640億ドルを見込む。従来は595億〜625億ドルを予想していた。
ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は29日のアナリスト向け説明会で、経営方針をめぐり対立している大手アクティビスト(物言う株主)の米スターボード・バリューと2週間前に対談したと明らかにした。
ブーラ氏は「(スターボードとは)多くの点で大きく異なる見解を持っている。株主還元を高めるよう最善を尽くしていると信じている」としたうえで「経営計画を進めていくうえで、スターボードを含む全ての株主とともに取り組んでいく」と説明した。
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