【ニューヨーク=長尾里穂】米調査会社コンファレンス・ボードが29日発表した10月の米消費者信頼感指数は、前月の改定値から9.5ポイント上昇して108.7となった。1月以来の高水準となり、市場予想(99.3)も上回った。雇用環境への見方が改善したほか、今後「株価が上がる」と予想した人の割合が1987年以来で最大となった。
同指数は米個人消費の先行指標とされ、1985年を100として算出している。足元のビジネスや労働市場の景況感を映す「現況指数」は138.0と14.2ポイント上がった。短期的な見通しに関する「期待指数」も89.1と6.3ポイント上昇した。景気後退リスクの高まりを示す水準の80を大きく上回る。
雇用環境に関する指数は現況、見通しともに消費者の評価が改善した。雇用が現在「豊富にある」と答えた消費者は35.1%と3.8ポイント上昇した。今後6カ月で雇用が減少するとの回答は17.1%と1.7ポイント減少した。
コンファレンス・ボードのチーフエコノミスト、ダナ・ピーターソン氏は「消費者の雇用環境への見方はここ数カ月低迷していたが、回復した。労働市場データの改善を反映している可能性がある」と指摘した。
今後1年間の株価の上昇を予想した消費者の割合は51.4%と、調査を始めた1987年以来の高水準だった。下落を予想する割合は23.6%にとどまった。米連邦準備理事会(FRB)が9月に4年半ぶりの利下げに踏み切ってからも、米株式相場は最高値をたびたび更新している。消費者の間でも楽観論が強まっている模様だ。
消費者信頼感は足元の政治状況も反映している。米調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのチーフ米国エコノミスト、サミュエル・トゥームズ氏は「指数はここ数年、共和党に有利になると上昇する傾向がある。共和党員の間でトランプ氏が大統領選で勝利する期待が高まったことを反映しているようだ」と分析した。
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