日本ペイントホールディングス(HD)は28日、米化学企業のAOC(テネシー州)を買収すると発表した。買収額は純有利子負債を合わせて6300億円。AOCはコーティング剤原料など特殊な化学品で高いシェアを持つ。高収益企業を買収し、利益を積み上げる。
AOCの持ち株会社であるLSF11 A5 TopCoの全株式を米ファンドのローンスターから取得する。株式の取得額は23億400万ドル(約3300億円)で純有利子負債を含む買収総額は約6300億円となる。規制当局の審査を経て、2025年上期中に買収を完了する予定。買収資金は金融機関からの借り入れでまかなう。
AOCは、多様な化学品で高いシェアを持つ企業だ。産業分野で幅広く使われるコーティング剤や接着剤、着色剤などの原料となるニッチな化学品を製造している。顧客に応じて化学品を配合する技術力と、短納期に間に合わせる製造・物流網を武器に1000社以上の顧客を抱える。
23年12月期の連結売上高は前期比16%減の14億ドル、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は1%減の5億ドルだった。EBITDAは日本ペイントHD(2220億円)の約3割に相当し、日本ペイントHDが経営指標として重視する1株あたり利益(EPS)が大きく増える。
AOCが手掛ける製品分野は、業界再編が進んでいる。北米や欧州で上位数社が高いシェアを持つ。一方で、建築やインフラ、自動車など幅広い産業で使われている。大小様々な企業を顧客に抱えているため、特定の顧客への依存度が低く安定した収益を稼ぎやすい。
日本ペイントHDは、世界4位の塗料メーカーだ。シンガポールの投資会社ウットラムグループが、日本ペイントHDの株式の過半を保有する。同社の24年12月期(国際会計基準)の売上高に当たる売上収益は前期比11%増の1兆6000億円、純利益は5%増の1240億円を見込む。
これまで世界中で関連会社を買収することで企業規模を拡大してきた。21年には、親会社からアジアの塗料大手を1兆円で買収、その後もフランスの建築用塗料大手やオーストラリアの塗料大手の買収に数千億円を投じてきた。営業利益の9割近くを海外で稼いでいる。
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