ウクライナ文化情報省傘下の機関が公開した北朝鮮兵とされる映像。ロシア極東の軍事施設で装備品を受け取る様子としている=共同

【キーウ=共同】ウクライナ国防省情報総局は、ロシアに派遣された北朝鮮兵がウクライナとの戦闘に投入されれば、前線で朝鮮語のビラを配布して積極的に投降を促す方針だ。共同通信の取材に27日までに明らかにした。人道的な捕虜の扱いを保障し、戦意を喪失させる狙いだ。

情報総局で捕虜の取り扱いを担当するマトビヤンコ報道官は、北朝鮮兵が独裁体制の抑圧下にあり「兵士にとって派遣は母国から逃れる好機とも捉えられる」と分析。戦闘参加中の戦争犯罪の有無などを調べる必要はあるが、ロシアとの戦争終結後に脱北者として保護する余地もあるとの見解を示した。

情報総局はロシアが侵略した2022年からロシア兵に向けて投降の相談窓口を設けている。電話や通信アプリで連絡を受け、ロシア軍部隊からの脱出経路を案内するなどしてきた。これまでに4万件ほどの問い合わせがあり、約350人が自ら捕虜になったという。

北朝鮮兵がスマートフォンを所持しておらず、ウクライナ側への接触が難しい可能性はあるが、マトビヤンコ氏は「ロシア軍から通信機器が支給されている可能性もある」と指摘する。ビラも使って対応方針を伝え、自ら部隊を離れる決断を後押ししたい意向だ。

ウクライナ当局は既に北朝鮮兵に向けて投降を呼びかける朝鮮語の動画を公開し「外国の地で意味もなく死んではいけない」と強調。「安全な場所で食事と医療が提供される」と訴え、捕虜の人道的扱いを定めたジュネーブ条約に基づく対応を約束している。

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