国際シンポジウム「朝日地球会議2024」が25日、東京ミッドタウン八重洲カンファレンス(東京都中央区)で始まった。「対話でさぐる 共生の未来」をメインテーマに、地球規模の課題を国内外の識者が議論する。オンライン配信も含めて31日まで続く。
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初日の25日は、「『戦後』の終わり? 暗黒か ユートピアか」と題したセッションで、冷戦をキーワードに国際政治を研究する東大の板橋拓己教授と、イスラエルを中心とした中東政治に詳しい慶大の錦田愛子教授が、揺らぐ国際秩序の先にあるものを議論した。
板橋さんはハンガリーなど東欧の事例を挙げて「自由民主主義の国でも自由は一瞬で失われるものだ」と指摘。現実を見据えつつも、理想を目指す必要性を話した。錦田さんも「次の世代のために、未来を残すために、暗黒にしてはいけない」と強調した。
「地球と女性の健康な未来のために~アフリカの課題から」では、公益財団法人ジョイセフの勝部まゆみ理事長と、国境なき医師団産婦人科医の鈴木美奈さんが、アフリカの女性たちが抱える課題について意見を交わした。
2人はアフリカの女性の人権をめぐる厳しい現実や、設備が不十分な医療現場の状況を紹介。鈴木さんは「我々はたまたま日本に産まれただけ。日本にいるとその幸せが分からない。無関心になってはいけない、自分だけが幸せでは駄目だ、ということを伝えたい」と訴えた。
セッションに先立ち、来賓あいさつで国連のメリッサ・フレミング事務次長がビデオメッセージを寄せ、「今こそ貧困に終止符を打ち、地球を守り、誰一人取り残さないようにする時だ」と話した。
小池百合子・東京都知事もビデオメッセージで講演。都の取り組みを紹介して「環境と経済の好循環を作り出すことこそが今の時代の成長戦略だ」と強調した。
リアル会場では26日もセッションがある。「AIがヒトを超える時代に考える 『人間』とは?」では、狂言師の野村萬斎さんと全脳アーキテクチャ・イニシアティブの山川宏代表らが登壇し、AIを通して人間が紡いできた文化とは何かについての議論を深める。
リアル会場の参加受け付けは締め切られているが、各セッションの様子は朝日新聞の紙面とデジタル版で後日掲載する予定だ。
- 【オンラインセッション動画の視聴お申し込みはこちらから】朝日地球会議2024のプログラム
27日から31日までは「持続可能性」、「イノベーション」、「国際関係・平和」、「共生・多様性」の四つのテーマに分かれた様々なセッションがオンライン配信される。
世界的に知られる米デューク大教授の法倫理学者ニタ・ファラハニーさん、米コロンビア大教授で歴史学の世界的権威であるマーク・マゾワーさん、ネットで世論を操る「仕掛け人」に注目した政治評論家で作家のジュリアーノ・ダ・エンポリさんの3人へのインタビューも、それぞれ先行配信されている。(松山尚幹)
【主催】 朝日新聞社
【共催】 テレビ朝日
【特別協賛】 旭硝子財団、サントリーホールディングス、JR東日本、日本たばこ産業、三井不動産、三菱地所、明治
【協賛】 MS&ADインシュアランスグループ
【特別協力】 品川区
【協力】 グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、朝日学生新聞社、CNET Japan、ハフポスト日本版、森林文化協会、ゼロボード、ポーラ伝統文化振興財団
【特別共催】 国際交流基金
【後援】 総務省、外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、東京都(松山尚幹)
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