【ベルリン=時事】国連環境計画(UNEP)は24日、世界の温暖化対策が現状のままなら、産業革命前からの気温上昇が最大3.1度に達するとの報告書を発表した。1.5度に抑えるパリ協定の目標達成に向けた猶予期間は「数年以内」と指摘、各国に即時かつ大規模な温暖化ガス削減に取り組むよう求めた。
報告書によると、2023年の温室ガス排出量は前年比で1.3%増加し、二酸化炭素(CO2)換算で571億トンと過去最高を更新した。全体に占める割合は中国が3割、米国が11%と大きく、20カ国・地域(G20)合計では77%だった。1.5度目標達成のためには、35年までに毎年7.5%ずつ減らさなければならないという。
各国が定めている現在の個別の削減目標が達成されたとしても、気温上昇は2.6〜2.8度に達すると試算。日本は、30年度までに13年度比で46%の削減を掲げているが、報告書は「現状で達成できる可能性は低い」と評価した。
UNEPのアンダーセン事務局長は「これまでにない大規模かつ迅速な取り組みが必要だ。そうしなければ、『1.5度』の目標は直ちについえる」と訴えた。その上で、来月の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)での前向きな議論を呼び掛けた。
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