【ニューヨーク=弓真名】米当局は米カジュアル衣料大手「アバクロンビー・アンド・フィッチ」の元最高経営責任者(CEO)であるマイク・ジェフリーズ氏を22日、性的な人身売買に関わった疑いなどで逮捕・起訴した。モデルを志望していた男性たちへの性的行為の強要や、人身売買に関与した疑いが持たれている。
米当局は22日朝(米時間)、ジェフリーズ氏に加え、性的搾取・人身売買にかかわったとされる別の人物2人を逮捕した。
同日、ニューヨーク州東部地区の連邦検察が3人を起訴した。起訴状によるとジェフリーズ氏はモデルの「選考」と称して候補の男性たちを呼び寄せ、薬物を摂取させて性交渉を要求したなどの疑いが持たれている。さらに、検察は3人が2008年12月から15年3月にかけて国際的な人身売買事業も運営していたとしている。
3人は今後、ニューヨーク市の裁判所で罪状認否を行う予定だ。ニューヨーク州東部地区のブレオン・ピース連邦検事は22日「(ジェフリーズ氏らは)金と影響力を利用して性的欲求を満たすために弱い立場にある男性を食い物にした」と糾弾した。
ジェフリーズ氏は1992年から2014年までアバクロのCEOを務めた。その間、アバクロは「かっこいい白人向け」のイメージ戦略が功を奏し憧れのブランドとして一世を風靡したが、着用者の体型を選ぶブランドのコンセプトは次第に「時代遅れ」となり人気が落ち込んだ。
アバクロは低迷期を経て、17年就任のフラン・ホロビッツ現CEOのもとで「ダイバーシティ(多様性)」を主軸とした経営戦略にかじを切った。販売するサイズの幅を増やして敷居が高いブランドイメージを払拭し、直近決算で大幅増益を確保するなど業績が回復している。
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