【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10月21日の動き)

ウクライナ情勢 戦況の解説記事はこちら

北朝鮮部隊投入されるとの見方 ロシア“食い違う情報多い”

ロシア大統領府の報道官は、軍事侵攻が続くウクライナの前線に北朝鮮の特殊部隊が投入されるとの見方が出ていることに対し、「両国の協力は第三国を狙ったものではない」と述べる一方、韓国とアメリカの間で情報が食い違っているなどと指摘し、北朝鮮からの派兵について詳しい言及を避けました。

韓国の情報機関・国家情報院は18日、北朝鮮の特殊部隊のおよそ1500人が10月、北朝鮮からロシア極東に移送されたと明らかにし、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの前線に投入されるとの見方を示しました。

これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は21日、「北朝鮮との協力は第三国を狙ったものではなく、誰も懸念すべきでない。われわれは協力を発展させるつもりだ」と述べました。

そのうえで、アメリカのオースティン国防長官が北朝鮮からの派兵について「現時点で確認することはできない」と述べたことを念頭に、「韓国は一方のことを言い、アメリカ国防総省は確認できないとしている。食い違っている情報が多い」と指摘し、これに関する詳しい言及を避けました。

一方、韓国外務省のキム・ホンギュン第1次官は21日、ソウルに駐在するロシアのジノビエフ大使を呼び出し、北朝鮮の部隊をウクライナに派遣させないよう強く求めました。

韓国はアメリカとともに、ロシアと北朝鮮の動向への警戒を続けています。

ウクライナ 複数メディア「北朝鮮の兵士40人の配置確認」

ウクライナの複数のメディアは21日、ウクライナ国防省の関係者の話として、北朝鮮の兵士40人がロシア西部のクルスク州の森林に配置されていたのが確認されたと伝えました。

この北朝鮮の兵士たちは、ロシア軍の兵士に軍事目的の気球の使い方について訓練を行っていたということです。

また、40人は訓練の後、食料も持たず具体的な指示も与えられないまま森林に取り残されたということで、10月14日に一部の兵士が持ち場を離れ、2日後におよそ60キロ離れた場所でロシア軍に見つけられたと報じています。

その後、北朝鮮の兵士たちはウクライナ軍への攻撃に参加するため、クルスク州の別の場所に配置されたとしています。

韓国ユン大統領 NATOに安全保障面での協力強化する考え示す

韓国大統領府は、21日、ユン・ソンニョル大統領がNATO=北大西洋条約機構のルッテ事務総長と電話会談したと発表しました。

この中で、ユン大統領は情報機関の分析として、北朝鮮の特殊部隊およそ1500人が、ロシアに派兵され訓練を受けていることが確認されたと説明しました。

また、ユン大統領はロシアと北朝鮮の軍事協力が朝鮮半島と世界の平和を脅かしているとしたうえで「韓国政府はこれを決して見過ごさない」と述べました。

そして、ロシアと北朝鮮の軍事協力について、ルッテ事務総長がより詳細に情報を共有するため、韓国政府に対してNATOに代表団を送るよう要請し、ユン大統領は代表団を迅速に派遣し、安全保障面での協力を強化する考えを示しました。

一方、ルッテ事務総長は、北朝鮮が派兵したかどうか慎重な見方を示していて、会談のあとSNSのXに「北朝鮮がロシアとともに戦うためにウクライナに軍隊を派遣することは、重大なエスカレーションを意味する」と投稿しました。

北朝鮮「根拠ない噂 言及する必要すらない」

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナの前線に、北朝鮮の特殊部隊が投入されるとの見方が出ていることに対して、北朝鮮の代表は国連で「根拠のない噂だ」と主張しました。

ニューヨークの国連本部では21日、軍縮や安全保障問題を扱う国連総会の第1委員会が開かれました。

このなかでウクライナ政府の代表は北朝鮮について「北朝鮮はロシア軍とともにウクライナ軍と戦うために、およそ1万1千人の正規軍を近く展開すると予想される」と指摘しました。

これに対し、北朝鮮の代表は「ロシアとのいわゆる軍事協力について、わが国のイメージを汚し、主権国家どうしの合法的かつ友好的な協力関係を損なうような根拠のない噂に対しては言及する必要すら感じない」と主張しました。

地雷除去の農地で収穫された食材使った試食会 キーウ

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでの地雷除去の支援につなげようと、地雷が取り除かれた農地で収穫された食材を使った料理の試食会が、首都キーウで開かれました。

国連などによりますと、ウクライナ国内では、ロシア軍によって埋められた地雷や不発弾が残っている可能性がある地域は国土の20%あまりと依然、広範囲におよんでいて、その除去が課題となっています。

試食会は、地雷除去の必要性を知ってもらおうと、国連機関とウクライナ政府が企画し、21日、首都キーウのレストランには、日本をはじめ各国の外交官およそ50人が集まりました。

はじめに、UNDP=国連開発計画の徐副総裁が「地雷除去はウクライナの発展と、途上国への穀物輸出の再開につながる」と述べ、支援を呼びかけました。

試食会では、地元の有名シェフが手がけた5品の料理がふるまわれ、このうち伝統料理の「ボルシチ」には、地雷の除去が済んだキーウ州の農地で収穫されたビーツやたまねぎなどが使われたということです。

参加した外交官たちは、シェフから料理の説明を受けながら一品一品を味わっていました。

シェフのオリハ・マルティノフスカさんは「豊かな土地が地雷で苦しんでいるのを見るのはつらいが、私たちは1人ではない」と話し国際社会の支援に期待を示しました。

在ウクライナ日本大使館の時田裕士公使は、「除去の結果が具体的にわかる良い取り組みだ。今後も支援を進めたい」と話していました。

米国務長官 追加軍事支援を表明 兵器の使用制限撤廃は否定的

アメリカのオースティン国防長官は21日、ウクライナの首都キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領やウメロフ国防相と会談しました。

ウクライナ側の発表によりますと、会談ではウクライナの防空能力の強化やゼレンスキー大統領がロシアによる軍事侵攻を終わらせるためにまとめたとする「勝利計画」などについて意見を交わしました。

このなかでオースティン長官は、アメリカが4億ドル、日本円にしておよそ600億円の追加の軍事支援を行うことを表明したということです。

また会談のあとオースティン長官は、ウクライナが射程の長い兵器の使用制限の撤廃を求めていることを念頭に「特効薬はなく、たった1つの能力で流れを変えることはできない」と述べ、使用制限の撤廃には依然として否定的な立場を示しました。

アメリカでは、大統領選挙が2週間後に迫っていて、選挙の結果次第では軍事支援にも変化が起こりうるとしてウクライナ側は行方を注視しています。

ウクライナ情勢 ロシアによる軍事侵攻 最新情報・解説 - NHK特設サイト

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。